ワールドサーフリーグ(WSL)は米国時間17日、2020年のチャンピオンシップツアー(CT)を中止すると公式発表した。 WSLの最優先事項は、アスリート、ファン、従業員、地元コミュニティの健康と安全であり、昨今の海外渡航の困難さを考慮しての判断となった。
WSLのエリク・ローガン最高経営責任者(CEO)は、「関係者と何度も熟考した結果、新型コロナウイルスの影響のため、我々は2020年シーズンのCTとクオリファイングシリーズ(QS)を中止する決断をいたしました」とコメント。さらに「未解決のコロナウイルス問題の中、サーフィンが安全に開催されるのに最も適しているスポーツであると固く信じています。そして、世界がこの問題を解決するために働いていることに多大なる尊敬の念を抱いています」と話した。
その一方で、2021年シーズンのCTフォーマットについても発表した。まず女子が2020年11月にハワイ州マウイ島で、男子が同12月にハワイ州オアフ島でスタートする。ただし、これはハワイ州と地方自治体の承認に従うと同様に、安全な海外渡航のガイドラインも必要とされる。
CTは、2021年シーズンから新フォーマットで開催され、2020年シーズンからの主な変更は下記の通り。
WSLファイナルの新設
男子と女子の世界チャンピオンが、ワンデイイベントで決定される。男女ともに各10戦を戦い、上位各5名が“ファイナル”に進出する。日本のプロ野球などでも採用されているプレイオフのようなもので、 “ファイナル”のフォーマットは、1回戦でランキング4位と同5位が戦い、勝者が同3位と対決。その勝者が今度は同2位と対戦し、勝った方が決勝に進出。そして、同1位とベストオブ3の対決を行い、勝った方が世界チャンピオンとなる。これを1日で行うため、世界王者が誰なのかわかりやすい。熾烈な世界チャンピオンの称号をかけた戦いは、今まで以上に最後まで目が離せないだろう。
史上初の男女同数の試合
2021年シーズンのCTは、男女ともに10戦が行われる。男女の試合数が同じなのは史上初のこと。また、女子も今年は男子同様に世界で最も象徴的なポイントの一つであるタヒチ島のタウポで開催されることになり、これは2006年以来のこととなる。
ツアーの季節分け
CTの再編に加えて、CTとチャレンジャーシリーズ(CS)間のきちんとした日程もアップデートされた。2021年シーズンのCSは2021年8月から同年12月まで開催される。QSは2021年1月から6月末まで行われて、CSへの出場者が決定される。なお、2020年にQSで稼いだポイントは、2021年に引き継がれる。
今回のフォーマット変更は、長年にわたって交わされた議論の結果であり、アスリート、パートナー、WSLのコラボレーションの賜物である。これにはアスリートも喜びの声を発している。2度のWSL王者に輝いたことがあるジョン・ジョン・フローレンスは、「今回の新フォーマット、日程、ロケーションのアップデートにとてもワクワクしている。我々も進化して新しいフォーマットに順応するので、進化するWSLの一部になれることは素晴らしいことだ。新時代の幕開けが待ち遠しい」。
2022年シーズンからは中盤に“足切り”制を導入
2022年シーズンからのCTは、ミッドシーズンカットの方式が導入される。男子が36人、女子が24人からシーズンをスタートするCTは、シーズンの折り返し地点でそれぞれ18人と12人に削減される。つまり、“足切り”されるということだ。この結果、シーズン終盤戦でより白熱したヒートが繰り広げられ、スター選手同士がより頻繁に対峙することが担保される。なお、11月から始まる2021年シーズンはこれまで通りミッドシーズンカットは導入されず、2020年のCT資格者はフルシーズン戦うことができる。
米、豪、欧州で特別イベント開催
WSLは8月から、「The WSL countdown」と称したプレシーズンイベントを開催する予定でいる。これは、アメリカ、オーストラリア、フランス、ポルトガルを舞台に行われ、CTサーファーが参加する。まず、8月のアメリカではサーフレンチが男女混合のチーム戦を主催する。次いで、9月と10月のオーストラリアではゴールドコーストとマーガレットリバーで行われ、9月下旬と10月初旬には、フランスとポルトガルでユーロカップが地域のCTスター選手をフィーチャーしたイベントを開催する。なお、これらの世界最高のサーファーが参加するプレシーズンイベントは、WSL公式サイトで配信される。